私たちの『三島・自然に親しむ会』は、自然観察指導員のメンバーを中心に、 地域の身近な自然を楽しもうと発足しました。以来十数年、 月1回程度の観察会と年1回の会報の発行という形で活動を続けています。
周りを国立公園に囲まれ、フィールドには事欠きません。 富士山麓の奥深い自然や観光地ではない箱根の魅力を求め、 また伊豆半島の海岸生物を楽しむ、まさに地の利を活かした観察会を行っています。
現在会員数は80名程です。『会』としては、何かをしなければならないという規制はありません。 観察会を媒体に、図鑑と首引きの人、重いカメラを離さない人、絵を描く人、 短歌を作る人等、各人がそれぞれの方法で自然を楽しんでいます。
ここ数年、地域の子供たちに自然の面白さを伝えたい、 そんな趣旨でセミの羽化の観察会を行っています。 夕方から始まるセミの羽化は参加した子供ばかりか、 付き添いの大人まで魅了するようです。 時間のかかる羽化を見続けるというのは子供に とって決して楽な作業ではないと思われるのですが、 その神秘的ともいえる美しさ、力強さに時の経つのも忘れているようです。 ただ街の中で、安心して観察会を行える場所を見つけるのが一苦労です。 せっかく地上に出てきたセミにとっても生きにくい世の中なのかもしれません。
大自然と呼ばれる美しさは捨てがたい魅力がもちろんあります。 それでも本当に身近な道端や畑の雑草に、 川原を飛び回るトンボやチョウに「小自然」の美しさを見出していく、 そんな精神を忘れずに、細々とではありますが、今後も活動を続けていきたいと考えています。